新型コロナウイルス感染症拡大により、1年間の延期を経てスポーツの祭典がついに開幕されます。開会式および閉会式の音楽監督を田中知之(FPM)が務めることが発表され、世界的にFPMの音楽がさらに認知される期待が高まっています。
元々、クラブミュージック/DJの世界ではワールドワイドに人気があったFPMの音楽ですが、個人的には20年前の2001年にリリースされたアルバム「Beautiful」に思い入れがあります。
当時、私自身はロサンゼルス郊外の街パサデナでCDショップ兼カフェ「OPUS」のバイヤーおよびマネージャーを務めており、バイヤーとしては(日本盤を輸入すると高価になるために)アメリカ盤としてリリースされている良質な日本の音楽を探すのに躍起になっていました。また、マネージャーとしては店舗BGM用として当たり前のヒット曲ではない最先端のサウンドを求めていました。
そんなときに、AirやBuffalo DaughterやMoney Mark、さらに映画「Lost In Translation」のサウンドトラックなどを扱っていたロサンゼルスの感度が強い人々に愛されていたレーベルであるEmperor Nortonから全米リリースされたのが(当時はまだアーティスト名をFPMと省略していなかった)Fantastic Plastic Machineのアルバム「Beautiful」でした。野太い女性のセリフ「I am Beautiful.」から始まるこのアルバムはダンス/クラブミュージックの範疇には収まらない多様な音楽性を包み込んでおり、当時の日本の最先端サウンドを響かせてくれていました。カフェも併設したCD店舗のBGMとしても大好評で、実際にお客さんに「いま流れているのは誰?」とよく尋ねられたものです。2016年にはiTunes Storeの「名盤50」にも選出された本作は、名実ともに高い人気を誇る名盤です。
今回のスポーツの祭典を通じて田中知之(FPM)が全世界にどんなBeautifulなサウンドを響かせてくれるのか、そしてどのように「いまの日本」を伝えてくれるのか、いまから楽しみで仕方ありません。
Artist: Fantastic Plastic Machine (FPM)
Track: Beautiful Days
Twitter: @tomoyukitanaka