音楽の素晴らしさ−それは私たちを取り巻くあらゆる変化や感情を吸収し、社会の現状を語る声となりうること。そんな2020年の状況下に、心にいつまでも残るような素晴らしい音楽がたくさん届けられた。音楽ファンであると同時にキュレーターでもある私にとっての音楽的嗜好はサウンドもスタイルも多種多様だが、2020年の私の傾向はひとつの音にとらわれずにさらに探究心を持ったことだと思える。この1年を乗り切るために感情を高めてくれたアルバムは多く、1枚だけを選ぶのは難しいがある作品が深く私の心に響いた。
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Artist: Lianne La Havas
Album: Lianne La Havas
Track: Read My Mind
Twitter: @liannelahavas
この不安と混乱に満ちた時代のなか、1日の原動力にもなり揺らぎ流れるようなサウンドを見つけた−それがLianne La Havasだ。ジャズ/フォーク/R&Bのハイブリッドであるこのアルバムでは、パワフルだがシンプルさと複雑さに溢れる歌詞で変化や別れの感情が表現されている。「Read My Mind」のようなトラックでは、エレガントなピアノとストリングスが紡がれており、さらにLianne La Havasの素朴なヴォーカルがメロディのに浮かび上がってくる。アルバムは風変わりギターとヴォーカルの「Green Papaya」から、繊細なテクスチャーが織り成すエッジの効いたパワフルなRadioheadのカバー曲「Weird Fishes」へと進んでいき、最後は「Sour Flower」と「Bittersweet」というパワフルな2曲で締めくくられる。このアルバムは2020年への変化や静けさや美しさを内包していると言えよう。
Top 10 Albums of 2020
1. Lianne La Havas – Lianne La Havas
2. Moses Sumney – Grae
3. Lido Pimienta – Miss Colombia
4. Ganser – Just Look At That Sky
5. Monophonics – It’S Only Us
6. Pheobe Bridgers – Punisher
7. Perfume Genius – Set My Heart on Fire Immediately
8. Spillage Village – Spilligion
9. Fleet Foxes – Shore
10. Khruangbin – Mordechai